障害を理由とする差別の解消の推進
更新日:2016年4月7日
平成28年4月から 障害者差別解消法が施行されました。
障害を理由とする差別の解消を推進することにより、すべての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指し、障害者差別解消法(平成25年6月26日公布、平成28年4月1日施行)が整備されました。
(1) 障害を理由とする差別とは
障害を理由として、正当な理由なく、サービスの提供を拒否したり、制限したり、条件を付けたりするような行為(不当な差別的取扱い)をいいます。
また、障害のある方から何らかの配慮を求める意思の表明があった場合には、負担になり過ぎない範囲で、社会的障壁※1を取り除くために必要で合理的な配慮(合理的配慮※2)を行うことが求められます。
こうした配慮を行わないことで、障害のある方の権利利益が侵害される場合も、差別に当たります。
(2) 障害者差別の禁止について
法律では、国や地方公共団体等は、合理的配慮をすることを義務付けています。
※民間事業者であっても、事業主としての立場で障害のある労働者に対して行う差別の解消については、障害者雇用促進法により、不当な差別的取扱いの禁止だけでなく、合理的配慮の提供も法的義務とされています。
※1社会的障壁とは
障害のある方が、日常生活や社会生活を送る上で、障壁となるようなものを指します。
(1) 社会における事物(利用しにくい施設・設備、通行しにくい通路など)
(2) 制度(利用しにくい制度など)
(3) 慣行(障害のある方の存在を意識していない慣習・文化など)
(4) 観念(障害のある方への偏見など)
※2 合理的配慮とは?
合理的配慮とは、障害のある方が障害のない方と平等に人権を享受し行使できるよう、一人ひとりの特徴や場面に応じて発生する障害・困難さを取り除くための、個別の調整や変更のことです。
合理的配慮の基本的な考え方
(1) 必要かつ適当な配慮であること
障害のある方にとって、その配慮が必要かつ適当な程度や内容であるかという点が重要です。
あくまで、障害のある方が主体的に自分の力を発揮していくことが目的なので、本人が必要としていないような過剰な配慮は不要です。
本人の状態や周りの環境の変化に応じて、
- その人が具体的にいつ、どんな場面で困っているのか。
- その困りごとを解消するための適切な配慮は何か。
という2点を踏まえながら合理的配慮を検討・実施することが大切です。
(2)均衡を失さず、過度な負担でないこと
配慮を行うことで、他の人たちの生活や活動が困難になるほどの影響が生じたり、あまりにも大きな負担を伴う場合は、合理的ではないとして、行政機関・事業者はその配慮を断ることができます。
その配慮が過度な負担なのか、否かは、以下の観点を考慮しながら、行政機関や事業者が、個別の場合に応じて判断すべきとされています。
1. 事務・事業活動への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)
2. 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)
3. 費用・負担の程度
4. 事務・事業規模
5. 財政・財務状況
ただし、過重な負担を理由として配慮を断る場合は、配慮を求めた本人にその理由を説明する義務があります。また、負担が少ない形で他の配慮が実現できないか検討することが望ましいとされています。
お金や人手に限界があるなかでもどんな工夫ができるかを、常に考えることが重要です。
(3) 合理的配慮を必要とする当事者の権利
合理的配慮を受けることは、障害のある方の権利です。
必要な合理的配慮は人や場面によって異なるため、配慮を必要とする本人が個々の場面で意思表明をする必要があります。
行政機関の窓口、学校の先生や職場の上司・同僚、お店や公共交通機関の従業員や責任者などに対し、自分がどんな場面で何に困っていて、どんな配慮を必要としているか具体的に伝えることが大切です。
ただし、言葉が不自由であるなど、様々な理由で、障害のある本人が意思表明をすることが難しい場合もあります。
その場合は、家族や介助者など、その人のコミュニケーションを支援する方が、本人のために意思表明をしてもかまいません。
また、家族や介助者がいない場合でも、本人が配慮を必要としていることが明白ならば、周りの人々から、必要な配慮についての提案や対話をすることが求められます。
障害を理由とする差別を解消するための職員対応要領
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